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2024.11.26
陸上自衛隊の災害対処訓練「みちのくALERT2024」で実施された、国立研究開発法人防災科学技術研究所の実証実験に参加し、「津波災害デジタルツイン」の実証を行いました。
(1)背景
弊社は、内閣府が主導する「戦略的イノベーション創造プログラム」(SIP)の課題「スマート防災ネットワークの構築」において、東北大学や日本電気株式会社(NEC)等と「津波災害デジタルツイン」の研究開発を進めています。本研究開発では、弊社が開発・運用を行っているリアルタイム津波浸水被害予測システムをベースに、「ハザード予測層」、「社会影響予測層」、「最適対応層」の3つの機能を融合した「津波災害デジタルツイン」を開発し、自治体や企業で活用するための実証実験を進めています。
この度、防災科学技術研究所が「スマート防災ネットワークの構築」における研究開発・実証の一環として、陸上自衛隊の災害対処訓練「みちのくALERT2024」を実証フィールドとして実証試験を実施しました(https://www.bosai.go.jp/info/press/2024/20241031.html)。弊社も東北大学、NECと共同でこの実証試験に参加し、「津波災害デジタルツイン」の情報配信の試験を実施しました。
(2)実証内容
今年度開催された「みちのくALERT2024」は、東北太平洋沿岸で大規模な地震が発生したことを想定して行われました。弊社と防災科学技術研究所は、大規模地震(本震)とその余震が発生したとして、「津波災害デジタルツイン」を稼働させ,防災科学技術研究所が開発している指揮所運用システム「SIP4D-Xedge」へ津波浸水予測情報を配信する試験を行いました。「SIP4D-Xedge」は災害現場の派遣本部で災害情報を収集し、そして、最前線で展開している隊員へ情報提供を行うものです。
「みちのくALERT2024」の初日(11月15日)は陸上自衛隊仙台駐屯体育館で実施され、午前9時に東北太平洋沿岸でマグニチュード9クラスの地震が発生したとして図上訓練が行われました。弊社はそれに合わせて9時3分に東北大学サイバーサイエンスセンターのスーパーコンピュータAOBA-Sを利用して、約11分で津波浸水予測を完了しその予測情報を「SIP4D」(https://www.sip4d.jp/ )へ送信することに成功しました。そして、「SIP4D」から「SIP4D-Xedge」へ予測情報が転送され、写真2に示したように自衛隊の演習会場のディスプレーに津波浸水の予測情報を表示することができました。
二日目(11月16日)は石巻市渡波海水浴場で実施され、「SIP4D-Xedge」の端末を載せた自衛隊の車両が海上自衛隊のエアクッション艇(LCAC)で海上より輸送されました(写真3)。写真4が「SIP4D-Xedge」の端末を載せた自衛隊の車両です。午前11時56分に東北太平洋沿岸で余震(M8.3程度)が発生したとして「津波災害デジタルツイン」を起動し、前日と同様に約11分で「SIP4D」へ予測結果を送付することに成功し、自衛隊の車両に載せた「SIP4D-Xedge」の端末に予測情報が転送されました。
以上の試験において、「津波災害デジタルツイン」は地震発生後約11分で「SIP4D」へ情報を配信できることが明らかになり、そして、「SIP4D-Xedge」を通して災害現場の実働部隊への情報配信が行えることも実証しました。このことにより、本震発生後に災害現場に出動している部隊に、余震による津波襲来を通知でき、二次災害を防ぐ効果があることが示されました。
株式会社RTi-castはSIPの研究活動を通じて、災害から「生き延びる」「素早く立ち直る」社会の実現に向けた活動を展開します。