Column
2025.12.16
能登半島地震 復興支援ツアー
取締役 撫佐昭裕
先日、社員・顧問合わせて6名で「能登半島地震 復興支援ツアー」に参加してきました。このツアーは、珠洲市で被災した方々が設立したリブート珠洲合同会社が主催しているものです。リブート珠洲合同会社のホームページにツアーや研修の案内がありますので、是非ご覧ください。
リブート珠洲合同会社ホームページ https://rebootsuzu.com/
RTi-castは国内で発生した地震による津波被害の予測をリアルタイムに行っています。2024年1月1日に発生した能登半島地震では、能登半島に2.5m以上の津波が発生することを、地震発生後18分で予測をしています(2024年1月10日のコラムで紹介しています)。そして、CTOの東北大学教授越村先生は1月4日に土木学会海岸工学委員会の支援を受けて、東北大・金沢大・北陸先端大・金沢工大の合同チームで珠洲市の津波調査を行っています。この調査結果は土木学会や大学を通じて広く公開され、マスコミにも取り上げていただきました。また、RTi-castは、越村先生から地震による被害が大きいことを聞き、会社として微々たるものでしたが義援金をお送りさせていただきました。
RTi-castでは、社員研修の一環として能登の被害状況や復興状況を学ぶためにこのツアーに参加させていただきました。ツアーに参加して思ったことは、「もし、このツアーに参加しないで珠洲市を訪問していたら災害の傷跡に気が付かず、また復興が進んでいる中での問題点も知ることができなかった」と言うことです。このツアーでは、現在残っている被害カ所、避難所になっていた場所、仮設住宅などを巡りながら、実際に被災し、避難所で生活を送られた方の体験や今問題になっていることについてお話を聞くことができます。このコラムではツアーの一部をご紹介しますが、是非、観光支援としてこのツアーに参加し、能登の現状を学びながら能登の物産を味わって頂ければと思います。
写真1を見てください。これは宝立町の海岸沿いの道路を撮影したものです。右側奥に工事車両があるので復旧作業をしていること、また電柱が傾いていることがわかります。あとは野原が続いている場所です。このツアーに参加していなかったら、ここは以前から野原だったと思ってしまいます。実はこの場所は両側に家屋が並び、地震によって倒壊し、津波が浸水した場所です。珠洲市では倒壊した家屋はほぼ撤去され更地になっています。ツアーに参加しないと通り過ぎてしまいます。

写真1 宝立町の沿岸沿いの道路
次に写真2を見てください。多分、ツアーに参加しなければ訪れない場所だと思います。宝立小中学校に設置されている浄化槽です。この学校は避難所として使われていて、避難生活を送られた時のお話をここで聞くことができました。そして、今、浄化槽が問題になっているとのことでした。この地区は地震により下水道が破壊され、一時的に浄化槽が設置されました。しかし、最近、この地区の下水道は復旧しないことが市によって決定され、各家に設置された浄化槽を恒久的に使うことになりました。しかし、浄化槽の地下埋設のための資金がなく、問題になっているそうです。

写真2 宝立町小学校の浄化槽
私はこのツアーで知りたかったことがありました。石川県の公表している資料では、この災害での死者は498名、行方不明者2名となっています。このうち、津波による死者・行方不明者は何人だったのかです。ツアーで案内して頂いた方に聞いてみました。その人数は知らないが、倒壊した家に閉じ込められたお父さんを家族全員で助けようとしていたところ、津波が迫ってきていたので「お父さんごめんなさい」と言って避難した、との話を聞いたことがあると教えていただきました。やはり津波での犠牲があったこと、そして、この災害で辛く悲しい経験をされている方が多くいらっしゃることを再認識しました。
写真3は、珠洲市の観光名所になっている見附島です。ここも地震の影響を受け、一部崩落しています。また、珠洲市はこの地震で地盤沈下が起こり、以前干潮時には見附島に歩いて渡れたのが渡れなくなったそうです。地盤沈下による傷跡はいくつもあるそうで、一部を見学させて頂きました。その中には鵜飼川にかかる橋があり、地盤沈下により橋の方が高くなり、通行できなくなっていました。

写真3 見附島
このツアーに参加し、珠洲市の被害と復興状況について学ぶことができました。リブート珠洲合同会社の方々には貴重な体験をさせて頂きまして感謝申し上げます。そして、被災した建屋の取り壊し中にもかかわらず、私たちを宿泊させていただきました「ゆけむりの宿 美湾荘」にお礼申し上げます。部屋も綺麗で、食事も美味しく、大浴場も堪能させていただきました。スタッフの皆さんの心遣いにも感謝申し上げます。また、「KOBAR」では楽しい時間を、「飲み食い処 こばやん」では美味しい焼き鳥をいただきました。この社員研修でお世話になりました方々にお礼申し上げると共に、能登半島の一日も早い復興をお祈りいたします。
