Column

2023.12.15

デジタルツインについて

RTi-castCTO・越村です.この度,ウェブページがリニューアルしたということで,メンバーがコラムを通じてRTi-castの技術開発動向や,地震・津波災害についてなど幅広く情報を発信していくことになりました.よろしくお願いします.

 

さて,第一回は,「デジタルツイン」について語ってみたいと思います.いま様々な業界で導入が進んでいるデジタルツイン.デジタルツインとは,多様なセンサから物理世界の状況を仮想世界(コンピュータ上)にコピーして(=ツインを作成)シミュレーションを実行し,その結果を物理世界にフィードバックする技術体系であり,先進的な分野では既に実用化されています.例えば航空技業界においては,航空機エンジンのデータを仮想空間に展開して劣化をシミュレーション予測し,トラブル発生前に先回りで整備を行うなど.社会基盤の分野においては,トヨタがデジタルツインに基づく未来都市Woven Cityを建設して新たなスマートシティのあり方を構想しています.シンガポールは国土全体を3Dバーチャルツイン化し,リアルタイムで都市情報を可視化するなど,世界的にも新たな潮流が生まれています.

 

防災の分野においては,デジタルツインの導入は遅れているといえるでしょう.そこで,我々は「津波災害デジタルツイン」という構想を立ち上げ,戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)課題「スマート防災ネットワークの構築(注1)」に提案して,2023年度からの研究開発テーマとして採択されました.

                                                図 津波災害デジタルツインの構成

 

RTi-castが開発・運用しているリアルタイム津波浸水被害予測システムをベースに,物理世界の多様な地球観測データと社会動態(人流・交通)のデータを仮想世界にコピー(ツインを作成)し,仮想世界における様々なシミュレーションにより災害対応の最適化方策を探索し,それを物理世界のユーザにフィードバックします.世界初の研究開発となります.5年後の実用化・社会実装を目標に開発してまいります.先日キックオフシンポジウムが開催され,その時のプレゼンテーションの動画を御覧ください!(注2

 

1https://www.nied-sip3.bosai.go.jp/index.html

2)   https://www.youtube.com/watch?v=le6SE5LYPzs